2004.06.01
1.長時間露出等について | 2.天体撮影用タイマー付きリモコン | 3.ダーク処理 | 4.改良型リモコン | |||
5.天体撮影用改造 | 6.電子部品の不具合 | 7.レリーズステー | 8.中国製タイマーリモコンの改造(D80用) |
2000年10月にニコンのCOOLPIX880を購入してから3年半。デジタルカメラはその便利さから、もう手放せないものになっていました。
冷却CCDを購入したため、天文用途としてのデジタルカメラには、あまり興味がなかったのですが、
@彗星のような移動天体を撮影する場合はカラーCCDが欲しい。
A天体撮影の場合でもフィルムによる撮影より、すぐ結果が見られるデジタル画像には魅力を感じる。
B天文用途にも使えそうなデジタル一眼レフカメラが現実的な価格になってきた。
などと考えるようになり、購入を検討し始めました。
天文用途ではFUJIのFinepix S2ProやEOS KISS Digitalが定評ある機種として知られています。
しかし、Nikonのレンズ資産が多くあること、一般撮影が主目的であることなどからD70を選定しました。
D70にはレリーズを取り付けるねじ穴が切ってありません。そこで、長時間露出をする場合は撮影モードをM(マニュアル)に設定し、別売りのリモコン(ML-L3)を使う必要があります。シャッタースピードをバルブに設定し、リモコンを1度押すとシャッターが切れ、もう一度押すと閉じるというようになっています(タイム機能)。まあ、手順の数は銀塩カメラによるバルブ撮影と似たようなものなのですが、パソコンによる冷却CCDの操作に慣れてしまったため、結構わずらわしく感じられてしまいました。マニュアルでのシャッタースピードは30秒まで設定できるのですが、ここにせめて1分、3分、5分くらいまであればかなり使い勝手がよくなると思います。
ちなみにどこかの天文雑誌に「リモコンの待ち受け時間の上限が15分なので、これ以上の時間リモコンの操作がないと設定が解除されてしまう」というような記述がありましたが、これは「長時間露出が15分までしかできない」ということではありません。「設定時間内にリモコンによる操作を行わないと、リモコン操作ができる状況が解除されてしまう」という意味です。しかし、取扱説明書p.133にはリモコンの送信ボタンを押すと(シャッターが開いたままになり(最長約30分)、・・・(シャッターを開いたまま約30分経過すると、自動的にシャッターは閉じます)。・・・という記述があるので、結局上限は約30分ということになります。
D70は別売りのNikonCapture4というソフトにより、カメラの機能をいろいろコントロールできます。このソフトは画像処理機能も豊富らしいので、もし、長時間露出ができるようならば購入してみる価値がありそうです。NikonのWebを見ると、試用期間30日の体験版が無料でダウンロードできます。しかし、これは対象となるカメラを購入した人だけが使えるものなので、D70を買う前に試すことはできませんでした。
先日、D70が手元に届き、雲と月明かりがある悪条件の中ではありましたが、NEAT彗星(2001Q4)を撮影することができたので、画像処理のテストもかねてNikon
Capture4をダウンロードしてみました。このソフトはEditorとCamera Controlという二つのソフトに分かれていました。前者は画像処理ソフトで、後者が私の期待するものでした。早速カメラをUSBケーブルでつなぎ、ソフトを起動してみました。下の画面がその時の様子です。
レンズはキットのものです。シャッタースピードはカメラ側からでもパソコン側からでも設定できます。ただし、やはり30秒までとなっています。Bulbにしたときに好きな時間を設定できるのではないか、と淡い期待を持っていたのですが、それは見事に裏切られてしまいました。では、このまま(露出)開始ボタンをクリックしたらどうなるのか? その結果現れたウィンドウが次の画面でした。
ようするに、シャッタースピードがバルブだとこのソフトでは撮影することはできないのです。このあたりはソフトのバージョンアップの時に何か対応策が打てないものなのでしょうか。バルブの時間が設定できれば一番いいのですが、せめて1、3、5分などのシャッタースピードが設定ができれば購入するのですが・・・。残念。
カメラコントロールによる長時間露出の夢ははかなく消えてしまいましたが、せっかくなのでEditorによる画像処理を行ってみました。左が元画像、右が処理画像です。
月齢9.4の大きな月がでていたので、処理をしても尾の淡い部分は出ていません。しかし、60秒露出1枚画像にしては、まずまずではないでしょうか。撮影はRAW+jpegで行いましたが、これはRAW画像を下のようにトーンカーブ調整、コントラスト調整、カラーバランス調整したものです。
私は普段、天体画像処理の専用ソフトであるStellaImage4を使っているので、あえてこのソフトは必要とは感じませんでしたが、特に今まで画像処理ソフトを購入していない方なら、高いお金を出してA社のソフトを購入する必要はないのでは、と思いました。
上記の画像のうちjpeg形式で撮影したものは、エクスプローラーのプロパティなどで以下のような撮影情報を見ることができます。
RAW形式の画像はエクスプローラーでは開けませんが、上述のNikonCapture4 Editor では下記のような形で情報が表示されます。
今回は高橋製作所のε-160という天体撮影専用望遠鏡を使用したため、レンズ情報は表示されませんでした。しかし、リモコンによるタイム撮影でも露出時間が「60.60秒」と、きちんと記録されているのです。かさねて主張しますが、なんとか1分、3分、5分などの設定ができるようにしてほしいものです。
追加情報(2004.08.08)
群馬星の会の山本修氏がD70天体撮影用リモコンを試作されました。詳しくはこちら。
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