Skysnsor2000PC & Pictor201XT
   2012.12

 Skysensor2000PC

 川上さん製作の赤道儀を譲っていただくことになったのは、VixenのSkysensorが使えそうだとの考えがあったからこそです。ただ、トルクが不足することは十分に予想できたので、とりあえず純正モーターで動かしてみて、ダメだったら他の方法を考えようということになりました。
 赤道儀への取り付けは群馬星の会の須永邦夫さんにご協力いただき、部品を加工してもらいました。心配していたトルクですが、何とか大丈夫といったところです。ただ、ウォームホイールとネジをきつく締めすぎると動かなくなってしまうことがあります。かといって緩めるとガタが大きくなってしまいます。季節の温度変化により金属が膨張するため、こまめに調整が必要です。工具が使えるようにウォームギヤがむき出しのままなので、グリスが手や洋服についてしまうこともあります。また、バランスをよくあわせる必要がありますが、あまりにもよくあってしまうとガタの原因になってしまいます。現在は東側を少し重くするようにしています。

純正モーターの一部を切り取りました 赤経のウォームホイールとネジ こちらは赤緯

 設定

 スカイセンサー2000PCが対応している純正赤道儀は、ビクセンのGP、GP-Dなどです。これらの架台はウォームホイールの歯数が144枚で、恒星時運転の1200倍もの高速で自動導入が行えます。川上さんから譲っていただいた赤道儀は、赤経が272歯、赤緯が205歯です。
それをスカイセンサー付属の40枚平歯車 + 協育歯車工業で購入した80枚の平歯車で伝達して動かしています。しかし、スカイセンサーには伝達ギヤの設定項目がないので、ギヤヘッドの値036を2倍の072にして以下のように設定しました。



 また、自動導入のスピードですが、スカイセンサーは純正のGP-D(歯数144)で1200倍速なので 
  赤経 1200*144/272*40/80で約300倍
  赤緯 1200*144/205*40/80で約420倍
ということになるのだと思います。

 機能・使い勝手

 自動導入はとても便利です。特に眼視では確認しにくい対象を導入する場合、その威力は絶大です。私はステラナビゲーターの画像とCCD画像を画面上に並べて写し、構図を決めています。
 また、極軸をあわせる時も重宝しました。簡単に説明すると「極軸のあっていない赤道儀」モードで天体の導入ができるようにアライメントしてから任意の星を自動導入します。その後、セットアップメニューで「極軸のあった赤道儀」モードにしてGOTOキーを押すと、導入されていた星が動くので、極軸の高度と方位の調整ネジを使って先ほどの星を視野の中央に導入すれば完了です。
 これはすごいと思ったのが彗星(NEAT=2002V1)を撮影したときです。彗星を基準点として、1分露出の画像を何枚かコンポジットすると、背景の恒星が線状になるのです。調べてみたら、彗星や惑星を自動導入した場合、その固有運動を毎秒数10回計算して追尾し続けるのだそうです。そういえば、モーターの速度さえ追いつけば人工衛星も追いかけられるとうたってありました。

 接続コード

川上さん製作の赤道儀はとてもすばらしいもので、考えていた機材がみな同架できました。冷却CCDの高感度も手伝って、明るい星雲星団や彗星をどんどん撮影することができました。しかし、前述のようにガタが生じてしまうので、長時間の精密なガイド撮影になると、ノータッチの撮影では成功率がぐっと落ちてしまします。そこで手元にあったMeadeのオートガイダー201XTを流用しようと考えました。
 しかし、このオートガイダーとSkysensorを付属のコードでつなぎ、オートガイダーONにしたとたん、赤緯方向にどんどん星がずれていってしまいました。CSTの早川氏に尋ねると「Meadeとビクセンでは信号の出方が違うので、別にコードを用意しなければならない」とのことでした。ネットで調べたらスターゲイズという販売店でオリジナルのコードを扱っていました。しかし、私にとっては高価だったので自分で作ることにしました。早川氏から教えていただいた接続方法は以下のようになっていました。

  skysensor         Pictor
 1.dec -    →    1.right
 2.dec +    →    4.left
 3.dec com
 4.RA -     →    3.down
 5.RA com    →    5.ground
 6.RA +     →    2.up

* Pictorの5.groundはskysensorのRAcom.Deccom
 どちらか一方の接続でOKです。
 また6.の+5Vは不要です       CST

 この図を元に自分でコードをつなぎ直し、半田付けをしたのですが、この作業がとても大変でした。少し力を加えただけですぐ取れてしまうのです。調べてみると、電話用のコードは芯になる合成繊維の糸に細い銅箔を螺旋状に巻きつけたものなので、ハンダ付けをした部分は細い銅箔だけで持たせることになって非常に弱くなってしまうのだそうです。
 それでも恐る恐る接続し、テストしてみました。すると今度は赤経方向にどんどんずれていってしまいます。この原因は単純なもので、説明書でピクターの端子の向きを調べた時、私が左右反対に読み間違えていただけのことでした。しかし、もう一度つなぎ直す気力がわいてきませんし、この方法ではいつ接触不良を起こすかもわかりません。そこで、コードの途中ではなく、きちんとモジュラープラグのところでつなぎ直すことにしました。
 ところが、地方では6極6芯のモジュラープラグがなかなか入手できません(コードを探すのさえ苦労しました)。やっと前橋市のホームセンターで見つけたのが大雪となった12月20日でした。かしめる専用工具も安かったので同時購入しましたが、これが曲者。使ってみると両端の端子だけが圧着できていません。よくよく見ると4芯用の工具でした。きちんと店員さんに確認して買ったのにがっかりです。ここでくじけてたまるかと思い、なんとか無理やり圧着しましたが、工具の方はたった1回の使用で調子が悪くなってしましました。やっぱり安物買いの銭失いですね。

これが問題の専用工具 途中でコードをねじりました 6極6芯のプラグ

 

馬頭星雲

テスト撮影は12月23日。イプシロン160にCCDカメラを取り付け、動作の様子を監視しました。ガイド鏡の焦点距離が短いため、修正範囲が大きそうな気もしましたが、とにかく正常に動いていることが確認できました。これで今までよりも長い時間をかけた画像にもチャレンジできます。
 早速写したのが右の写真です。自宅でこのような写真が撮れるなんて、一昔前では想像もつきませんでした。
 
 今後は、ガイド星導入の効率を上げること、撮影対象や焦点距離により、適切な設定をすることが課題です。

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