8月11日(水)
いよいよ日食当日です。空は快晴。午前10時。機材をもって観測予定地へ出かけます。一度では運びきれないので、交代で何往復かしましたが、Amさんが一人で留守番していたときのことでした。エキスポセンターの警備員が巡回に来て、なにやらいろいろ質問された様子。一時は追い出されそうになったそうですが、「ここで、待っていなさい」と言われ、心配しながら立っていると、戻ってきた警備員は名刺を差し出しながら「お墨付きをもらってきたよ」と言ってくれたそうです。 お昼近くなると、現地の人がたくさん集まってきて「ぜひ望遠鏡をのぞかせてくれ」とせがまれました。仕方なく、カメラのファインダー越しにのぞいてもらいましたが、ずいぶん喜んでくれました。なかには「俺は東京と大阪に行ったことがあるんだ。ビデオカメラはSONYがいい!」なんて熱弁を振るう方もいました。 |
ホテルの部屋から見た観測予定地 | 慎重に極軸合わせ | 現地の人が集まってきた |
今回の私の機材を紹介します。 Nikon F801+TAKAHASI FC-50 + バリエクステンダー + バリチューブ1個 Nikon FE2 + Tamron200-400 ZOOM F5.6 SONY DCR TRV-900 + 2倍テレコン これらをTAKAHASHIのP-2型赤道儀に同架しました。(右手前) |
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観測風景 |
F801は全経過撮影用。FE2は皆既前後のみに集中。ビデオカメラは10分ごとの撮影および皆既前後に撮影。その他、OLYNPUS
μ−ZOOMで周りの様子や観測風景を撮影しました。 ビデオではインターバルタイマーを使って全経過を収めようとも思ったのですが、CCDの焼き付けの可能性と極軸合わせの精度の問題から見送ることにしました。 天気は快晴のまま。機材の熱対策のため、タオルやTシャツで直射日光を遮ります。 |
ところがところが・・・・。「あと1時間で皆既」と言う頃になって、西の空から雲が迫って来るではありませんか。皆既の時間はどんどん迫ってきます。話し合いの末、移動を覚悟しました。これでせっかく合わせた極軸もパーになります。しかし、コロナやダイヤモンドリングが見られなければ元も子もありません。チャーターしてあったミニバスのドライバーに移動をお願いします。 |
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いよいよ日食の始まり | 皆既直前の空 |
すると、今は日食のため、各地で交通規制や渋滞が起こっていて、移動は受け入れられないというのです。第2接触まであと30分。文字通り、運を天に任せます。 いよいよ皆既が近づいてきます。その時、Ahさんから「シャドーバンド」と言う声。「どこどこ」と言いながらあたりを見ますが、全然わかりません。一気に興奮モードになってしまいました。 カメラのファインダーを覗くともうコロナが見え始めています。「見える、見える」と叫んでいるうちに第2接触を迎えました。 皆既中は雲の薄いところと重なってくれたおかげで、内部コロナやプロミネンスはバッチリ見ることができました。ただ外部コロナの広がりはあまり感じられず、また写真の露出も難しいものとなりました。手はふるえませんでしたが、「すごいすごい」しか言葉がでてきません。あたりはずいぶん暗く、F801の液晶パネルはライトで照らさないとよく見えないほどです。FE2の方は星の会のKさんに借りてきたモータードライブがレンズの台座に当たってしまうため、急遽南北を逆にして赤道儀に取り付けました。そのため、絞りの値が読みにくく、F11で撮ったつもりが16になっていました。 皆既中心の時、Ahさんが「もうそろそろ」と叫んだのを「皆既終了」と勘違いした私は軽いパニック状態。でもカメラは予定通りの枚数だけシャッターを切り、フィルム切れになることなく、第3接触までしっかり写せました。 皆既の2分20秒はあっという間。周りの情景はほとんど覚えていません。金星は確認できたのですが、地平線近くの空の色など、全く記憶にありません。また、妻に貸した双眼鏡は子どもやガイドさんの間を行ったり来たりで、私の元へは戻ってきませんでした。悔しい!! |
日食の詳しい画像は別のページでご覧下さい。 |
皆既が終わると、もうみんなすべてが終わったような気分になります。観測成功の記念写真を撮って、片づけモードに入る人もいました。 夜はみんなで打ち上げ。アルコールはもちろんコロナビール。ルーマニアにもおいてあるのですね。 |
観測成功の記念写真 | 木漏れ日 | 日食直後の空 | みんなで乾杯 |
この日の夜はすごい嵐。稲妻がたくさん見られました。 映像はホテルの部屋の窓からビデオで撮影したものです。 ルーマニアでの宿泊も今晩が最後。とにかく、この目で皆既食が見られて満足です。 |
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