ほうき星の話 〜期待通りの勇姿〜(第17回 6月2週)
1995年7月に発見されたヘール・ボップ彗星は、本体がハレー彗星の5倍ととても大きく、久しぶりに肉眼で楽しめる明るさになるだろうと予想されていました。私たち、群馬星の会のメンバーも続々と入ってくる情報に胸を躍らせていました。
そんな折り、突然、まさに彗星のごとく現れた百武彗星。彗星頭部から放射状に何本も伸びていた明るいプラズマの尾、そして暗い夜空で見上げたあの長い長い尾は、北斗七星を突き抜け、りょうけん座を横切り、かみのけ座までのびていました。
こうなると、ヘール・ボップ彗星への期待はよりいっそう高まってきます。そして、1997年春。期待通り素晴らしい勇姿を私たちに見せてくれました。
午前2時。天気を確認します。そして、晴れていれば望遠鏡とカメラを積んだ車を梅田の山奥に走らせるという日々が、毎日のように続きました。
午前3時前、東の空からまず彗星の尾が昇ってきます。彗星は夜空をすごい勢いで横切っていくと思っている方が多いかもしれませんがそうではありません。もちろん、彗星はものすごい速さで宇宙を移動していますが、肉眼でわかるほどみるみる星座の中を動いて行くわけではありません。また、空気中を飛んでいるわけではないので、飛行機雲のように必ず後ろに尾をひくわけでもありません。
彗星の尾は、観測するといつも太陽の反対側に伸びていることがわかります。ヘール・ボップ彗星では、太陽からの風や圧力によって本体から飛ばされた直線的なガス(イオン)の尾と、ゆるやかな弧を描いたちり(ダスト)の尾が大きなV字型をえがいていました。
やがて明るい彗星の本体が昇ってきます。これはまわりのどの星よりも目立ち、一目でそれとわかるものでした。
観察日数24日。2つの彗星でのべ28本のフィルムを使ってしまいました。
そして今、双眼鏡で楽しめそうな彗星が近づきつつあります。それについては次回でお知らせいたしましょう。
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