2000.10

 はじめに

当初、デジタルカメラを購入する予定はありませんでした。なぜかというと、
@すでにフィルムスキャナーを所有している。
Aデジタルビデオカメラ(TRV-900)から静止画が得られる。
 (フロッピーディスクアダプターが標準で付属:作例は下にあります)
Bいざとなれば、職場のものを借りられる。
からでした。
しかし、いざHPを立ち上げてみると、「フィルムに残すほどではない写真」がたくさん必要になってきました。また、静止画を得るためだけにビデオカメラを持ち出し、キャプチャーをするのも結構面倒です。さらに、今年度(2000年)は、勤務形態が代わり、Bも不可能です。
そんなとき、決定的な事件が起きました。長年愛用してきたコンパクトカメラ(μ−zoom105)を落としてしまったのです。何とか写せるものの、望遠側でのピントが甘くなってしまったようです。ちょっとしたお出かけの時など、フラッシュ付きの本機は大変重宝していたのでショックでした。しかし、結局は、このことがデジタルカメラ購入の契機になりました。


 機種選定

コンパクトカメラの代わりにするのですから、画質優先でも大きく重い物は困ります。それならば、一眼レフを持っていきますから。でも、画質がよいに越したことはありません。(できれば月・惑星の撮像にも使いたいものです。)携帯性ではキャノンのIXYが候補に挙がりましたがマニュアル設定がほとんどできません。Exif情報の活用やメーカーの好みもあって、結局NikonのCOOLPIX990と880の2機種に絞られました。
上位機種の990の方が多機能なのは当然でしょう。しかし、現物を見てみると、880の軽さ、小ささも魅力です。残念なのは880のマニュアル設定。絞りが2段階しかないこととシャッタースピード優先モードがないことが気がかりですが、それ以外はむしろ便利なシーンモードなどもあるし、家族みんなで使うのにも適していることから880にほぼ決まりました。
購入に際しては、カタログからではわからないことも多々あります。そこで、ニフティのニコンの部屋で質問(というか確認)をしました。

まず気になったことがinformation.txt機能で記録できる情報について。これは990と全く同じだそうです。
次はフィルターの件。レンズ保護用のフィルターはつけられる構造にはなっていません。これはちょっと困りものです。
それから、店頭ではマニュアルフォーカスで無限遠に固定するモードが見つからなかったのですが、これは当然できるそうです。
また、惑星の撮像をする場合については「CCD特有のノイズを問題視される方がおりますし、当方(Nikonさん)と致しましては特殊用途撮影ということで推奨はしておりませんのであらかじめご承知おき下さい。」というお返事でした。私としても惑星の撮像は特殊だという認識は持っているので、あくまで、付加価値として考えています。

 便利な機能

Exif情報の例
メーカー: NIKON
モデル: E880
ソフト: E880v1.0
測光方式: マルチ
露出モード: プログラム
シャッタースピード: 1.0
絞り値: F3.5
露出補正値: -1.3
焦点距離: 13.9mm
フォーカスモード: 無効
スピードライト: オフ
階調補正: 無効
感度: 400
ホワイトバランス: 無効
電子ズームの倍率: 無効
コンバータ: 無効
ファイルサイズ: 1149KB
記録サイズ/画質モード: 無効
撮影日時: 2000/10/30 20:05:01

1.Exif情報
撮影情報が書き込まれるinfo.txt機能は、普段からデータを重視する習性が付いてしまった私にはとてもありがたいものです。
実際には右のような情報が書き込まれていますが、これは以前から使っているアルバム画像ソフト「蔵衛門」でも読み込めます。また、鈴木さん作成のフリーソフト「エクスプローラー機能拡張for CoolPix950 Ver1.0」を使うとエクスプローラ(IE4orIE5)の機能を拡張して、
 @撮影情報のポップアップ表示(InfoTip)
 A撮影ファイルのプロパティに撮影情報タブを表示
 B縮小表示(サムネイル)の高速化
ができます。また、ここに書き込まれている日時の情報から、ファイル名を書き直すフリーソフトもあります。

2.シーン別プログラムモード
ポートレートモード、夜景モード、風景モードなど、11種類のシーン別モードが選べます。これは撮影シーンや被写体に合わせて自動的に最適な露出、ホワイトバランスなどを自動的にコントロールしてくれるので、撮りたいイメージにより近い写真が手軽に撮影できます。

3.クイック再生
撮影モードのままでもクイックレビューボタンを押すだけで、記録した画像を 1/4 画面サイズおよび全画面表示で簡易再生してくれます。この状態からの削除や拡大再生も可能ですし、シャッターボタンの半押しで、撮影状態にすぐに復帰できるので大変便利です。

4.BSS(ベストショットセレクタ)
最大10コマの連続撮影を行い、最もシャープだと判断される画像を自動的に選択・記録してくれます。

 天文への応用

天文への利用はあくまで付加価値。そう思いながらも最近発売されている「デジカメアダプター」が使用できるかはしっかり調べました。始め、どこかのホームページで「880にも使用できるが、レンズが沈胴式なので使わない方がよい」と書かれていた気がしました。でもこれは間違いです。880は前述のようにレンズ先端にねじが切ってありません。しかし、990や950と同じく、Nikonのコンバージョン類が使えるのです。それにはUR-E2というアダプターを利用します。これを本体に切ってあるねじに装着するので、むしろ安定感があるくらいです。インナーフォーカスのため、アイピースと接触することもなく、快適に使えそうです。
私が購入したのはS社のNikon専用品。変換リングがないため、シンプルで好感が持てました。アイピースはビクセンのLVシリーズ専用となっていますが、これも外形や接眼部の形状がうまく合えば大丈夫です。私の場合、手持ちのMeade SP12.4mm、TeleVue WideField19mmに装着できました。また、マスヤマ 20mmも溝にうまく合わせれば使えました。

電源OFF 電源ON(レンズが出てくる) UR-E2の装着状態 S社のアダプター(左)とUR-E2

※左の3枚はデジタルビデオカメラで撮影し、付属のアダプターでキャプチャーした画像です。

 追加情報

2000.11.27
Meade SP12.4mmは筒の部分が短いため、アダプターに深く差し込むと接眼部で止めるネジまで届きません。浅く差し込めばつきますが、デジタルカメラとの間隔が広くなります。(視野のケラレが大きくなります)
TeleVue Nagler4.8mmも装着できました。ただ、筒がやや細いのでセンタリングは慎重に行う必要があります。下の作例は、観望会終了時に試写したものです。作品の質はともかく、とりあえず写ることだけはわかりました。 (Meade 2120LX-5 Nagler4.8mm 画像は一部トリミング以外、修正無し)

測光方式: マルチ      露出モード: MANUAL
シャッタースピード: 1/2   絞り値: F3.6
露出補正値: 0.0       焦点距離: 15.5mm
フォーカスモード: 無効   スピードライト: オフ
階調補正: 無効       感度: 400
ホワイトバランス: 無効   電子ズームの倍率: 無効
コンバータ: 無効      ファイルサイズ: 448KB
撮影日時: 2000/11/24 20:37:58

とりあえず写してみた土星 Exif情報(抜粋)

2000.12.04
Nikonのネットショップで話題になっている「テレスコ・マイクロ」。良さそうですね。しかし、せっかくいろいろ望遠鏡を持っているのですからそれを使わない手はありません。今回のねらいは「月」です。最近はガイド鏡としてしか使っていないタカハシのFC-50とTeleVue WideField19mmの組み合わせで、月の形を撮っていくことにしました。このシステムならば、最悪の場合は赤道儀無しでも撮影できるので、車に積んでおけばいつでも画像が得られます。
撮影はまだ進行中ですが、天体写真ギャラリーの「デジタルカメラによる画像」のページでご覧になれます。

2001.01.04
1ヶ月にわたり月の撮影をしてみましたが、その手順は以下のようなものでした。
@構図を決める
Aデジタルカメラのピントを無限遠に設定する
B望遠鏡のドロチューブを調節してピントを合わせる
Cセルフタイマーをセットする
DCにより、無限遠が解除されてしまうので、またセットし直す
Eシャッターボタンを押す
もちろん、フラッシュは発光禁止にしておきます。
面倒なのがDの所です。何度か横着をしてこれを飛ばしていましたが、全然問題ありませんでした。すなわち、デジタルカメラ側のオートフォーカスが有効に使えるのです。これに気付いてからはいつもオートフォーカスで撮像しました。月齢3以下の細く暗い月でも十分対応します。また、ぐんま天文台の15cm屈折(FCT-150)では、木星はもちろん、土星でもオートフォーカスできちんとピントが合いました。

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