土星〜土星には耳がある?〜(第8回 1月4週)


 
星空観察会でもっとも人気のある天体といったらなんと言っても土星でしょう。やや黄色味を帯びた本体のまわりを麦わらぼうしのつばのような環がとりまいている様子は「まるで写真みたい」とよくいわれます。
土星に初めて天体望遠鏡を向けたのは前回も登場したガリレオで、1610年のことでした。そして、本体の両側に2つの丸く光るものがくっついている様子を記録に残しています。当時の望遠鏡はあまり性能がよくなかったので、環の両側が光る点のように見えたらしく、ガリレオはこの時「土星には耳がある」と驚いたそうです。ガリレオは土星を続けて観測しましたが、1612年にはその耳がなくなってしまい、ただの円盤像に見えました。彼は、この不思議な見え方の正体を突きとめることができずに、その生涯を閉じました。
 その後も、多くの人たちによって望遠鏡が土星に向けられましたが、どうしてこのように姿を変えるのか誰にもわかりませんでした。ようやく、その変化がリングの見え方の違いであると説明したのはホイヘンスでした。
 それではどうして土星の見え方が変わるのでしょうか。ホイヘンスは次のように書いています。「土星は薄い環にとりまかれている。そしてその環を傾けたまま太陽の周りを回っているため、地球からの見え方に変化が生じる。ある時は幅広く、またある時は狭く、時には直線状に見える」と。
 土星の環は、厚さ数百m、あるいはそれ以下と非常に薄いものだそうです。そのため、環を真横から眺めると地球上からは全く見ることができないのです。
 最近では1996年に環を真横から眺めることになりましたが、環の見えない土星はあまりおもしろいものではありませんでした。今はいかにも土星といった感じの美しさで眺めることができるので、まだ見たことのない方はぜひ一度ご覧になってください。

土星 
 2000年8月27日
 群馬県立ぐんま天文台にて撮影

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