木星〜人々惑わす明るさ〜(第7回 1月2週)

 冬は日暮れが早く、いつの間にか星が出ているということも多いものです。このところ一番星として輝いているのは、南東の空高くに見える木星です。すばらしい明るさなので、町中でもはっきりと見ることができます。その東よりでいくぶん小さく輝いているのは土星です。(※2000年は、木星が土星を追い抜き、東側に来ています)
 木星も土星もその明るさのため、昔から人々の目を引き付けてきました。これらは太陽の周りを回る惑星で、長い間観察してみると、星座を作っている星々の間をゆっくりゆっくり動いていくことがわかります。木星は約12年、土星は30年ほどかかって星座の間を一周します。ときおり、その動きが反対になったりするので人々をずいぶん惑わせました。それで「惑星」と呼ばれているわけです。
さて、望遠鏡で木星を見ると、何本かの縞模様を見ることができます。これは木星表面のガスの流れと考えられています。よく見ると木星の形そのものもまん丸ではないことに気づくでしょう。木星は地球の11倍ほどの直径があるのですが、10時間足らずでくるくると自転しているため大きな遠心力が働き、少しつぶれた形をしているのです。
 また、木星の周りを回る衛星にも注目してみてください。木星には現在16個の衛星が見つかっていますが、そのうち特に大きい4つは「ガリレオ衛星」と呼ばれています。
 今から400年ほど前、ガリレオは手製の望遠鏡を木星に向け、その周りを回る4つの星に気がつきました。当時は天動説が広く信じられており、宇宙の中心は地球で、星々はみなその周りを回っているとされていました。ガリレオは地球以外の星の周りを回る天体があることを目の当たりにし、地動説に対する自身を深めたといわれています。 
 双眼鏡や小さな望遠鏡でもガリレオ衛星は見えます。数時間おきに観察して、ガリレオの気分を味わってみてはいかがでしょうか。

木星 
 2000年8月27日
 群馬県立ぐんま天文台にて撮影

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