月食の話 〜今世紀最長の皆既〜(第19回 7月2週)

  昨年、月の見え方について紹介しましたが、数時間のうちに月の形が変わっていく「月食」をごらんになったことがあるでしょうか。
  満月の時は太陽・地球・月が一直線に並び、地球の影は太陽とは反対側に伸びます。その影の中を月が通過して、月面が暗くなる現象が「月食」です。月が完全に地球の影(本影といいます)の中に入ってしまうのが皆既月食です。このとき月は赤銅(しゃくどう)色になります。月が完全に見えなくならないのは、地球の大気層で拡散された太陽の光が月面をほんのりと照らすためで、波長の長い赤い光だけが届くので赤っぽく見えます。ただ、皆既中の月の明るさは、地球の大気の状態によって変わります(たとえば火山噴火によって大気中にチリが大量に放出されたときには皆既中の月は暗くなります)。また、月が地球の影をかすめて通るときには、月の一部が欠ける部分月食となります。
 昨年の7月28日に起こった月食はこの「部分月食」でした。桐生ではあいにく曇りがちの天気でしたが、1時間ほどの間に月の約40%がどんどん欠けていき、その後また元に戻っていく様子を薄雲を通して楽しむことができました。
 
 そして今度の日曜日(2000/7/16)には久しぶりに皆既月食が起こります。休日の夜、しかも午後9時前からという見やすい時間帯です。
 月が地球の影に入り始めるのが午後8時57分。約1時間後の午後10時05分には月のすべてが影に入り、「皆既」となります。皆既の終わりは11時49分ですから、なんと2時間近くも皆既の状態にあり、これは今世紀最長だそうです。
 日本国内は条件も良く、地球の本影による食の全経過を見ることができます。残念ながら梅雨時ですが、この日ばかりは良い天気に恵まれることを願うばかりです。

この月食の様子 2000年7月16日皆既月食のページへ

トップ || 星空の楽しみ メニュー