M78星雲の近くに新星雲が出現しましたが、私が2004年1月23日に撮像した画像に、偶然にもこの新星雲が写っていました。 |
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左の画像がその拡大です。赤、緑、青の光点がまるで移動しているように写っています。 まず月刊天文ガイドの彗星および小惑星のデータを調べてみました。しかし、それらしい天体は見当たりません。次にステラナビゲーターで調べましたが、これも該当天体なし。 そこで、大島修さんが運営するHPの掲示板に書き込んだところ、市川さんより MPChecker: Minor Planet Checker http://scully.harvard.edu/~cgi/CheckMP を教えていただきました。 赤経・赤緯を概算で出し、このページで検索しましたが、ここでも該当天体なし。 まさか、新天体ということはないにしても、なんとかして正体を突き止めたくなりました。 |
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しかし、もう自分では打つ手がありません。そこで思い切って彗星・小惑星観測の第一人者である小島卓雄氏(向井千秋記念こども科学館館長)に連絡をとってみました。小島さんからの回答およびアドバイス(一部抜粋)は
さて、3についてですが、この件に関しては、私も疑問に思っていました。1枚が60秒露出なので連写していても6分です。インターバル(約13〜14分)と移動速度を考えれば、移動天体ならば伸びた画像になるはずです。よって、なんらかの原因による偽星の可能性が有力だと思われます。また、インターバルを考えた場合、RG間(約14分)よりもGB間(約13分)のほうが狭くなると思われるのに、逆にRG間のほうが狭いように見えることも「おかしいな」と感じていました。 そこで移動天体?の元画像について調べ直したところ、当日撮像した2×2ビニングの画像すべて(M78以外にも)の同じ位置に光点が認められました。そしてガイドエラーがあるために、天体はやや伸びて写っていますが、この光点にはガイドエラーがありません。この日は金曜日ということもあり、LINEAR彗星(2002T7)に加え、M41、M67、M93なども撮影しており、1枚1枚の画像を確かめることもなく、機械的に画像処理を行ってしまいました。また、ダーク画像も別日のもので済ませていたために、ピクセルのノイズが処理しきれていなかったのではないかと思われます。PSFについても調べてみましたが、実在する天体とは明らかに違っていました。 まるで天文ガイド2004年1&2月号にあったO氏の「超新星発見への遠〜い道のり」のような顛末ですね。お恥ずかしい限りです。結局、CCDのノイズによる偽星であろうと結論付けられたわけですが、私にとってはよい経験になりました 最後に、丁寧にアドバイスをいただいただけでなく、メールでのやりとりの公開まで快諾していただいた小島氏に、改めて感謝申し上げます。今後も、画像を点検する際のチェックポイントにさせていただきます。 |
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