2001.01.21(日)5号機の占有利用
 日曜日の晩は比較的予約が取りやすいようです。こんな生活は今年度限りだと思いながらの利用です。
 今回のねらいは、春の系外銀河の撮像です。BITRUNのBT-11を使い、少し解像度の高い白黒画像を撮りたいと考えていました。それならば4号機の方が適しているのですが、この季節はシーイングの悪い日が多いので、あまり拡大率にはこだわらないことにしたのです。 まずは天頂付近のふたご座から。春の銀河の前に、前回撮り損ねたくらげ星雲やモンキー星雲、コーン星雲などの散光星雲を狙います。複数枚撮り、あとでコンポジットでコントラストを上げる予定です。このあたりは4号機(MT-300)では無理でしょう。本当は2号機(ε-250)が一番適していると思いますが・・・。
 続いておおぐま座付近の銀河にとりかかります。眼視観望でおなじみの天体が続きます。途中、ピントの甘さを感じました。BRC−250はカーボン鏡筒なので、温度変化には影響を受けないはずなのですが、念のため合わせ直しをします。前回の利用の際、ハルトマンテスト用のマスクを応用してピント合わせができるようにと、工作用紙で作った二つ穴マスクが用意されていました。今回はこれを使って確認です。CANでもいろいろな議論が交わされていますが、私ごときのレベルでは重宝な代物です。二つの穴を通ってきた像がだんだん近づき、やがて一つになった時点で調整終了です。ところが、これが大きな敗因でした。

恥ずかしいM90(クリックしても大きくなりません)

 調整が終わり、本格的に春の銀河に挑戦です。私はおとめ座銀河団のあたりは何となく眺めたことはあっても、一つ一つの銀河の特徴を覚えるほどには見たことがありません。しかも、コンピュータの自動導入です。モニターに映った像を見ながら「ふ〜ん、M90ってこんなもんだったっけ」などと思っていました。CCDで狙うのは初めての天体ばかりなのですが、それにしても細部が写っていません。「前回、明るいεで撮っていたからそう思うだけなのかなあ」とか、「BRCの時はBT-11Cが多かったよな。白黒画像はビニングがかかっていたはずだからその違いなのかな」などと思い、2×2のビニングで撮り直してみたり・・・。いくつか撮っているうちにやっぱりおかしいと思い、お気に入りのM51に向けてみます。すると、やっぱり全然写っていないではありませんか。「雲が飛んでいるのかなあ」と思い、制御室を出て空を見上げても、影響のありそうな雲は見あたりません。そして、ふと望遠鏡を見ると・・・。ここまで、読んでいただいた方はとっくにお気づきでしょうか。そうです、ピント合わせ用のマスクをつけたままだったのです(*^_^*)。全くお恥ずかしい限りで・・・。
 右の画像はそのときのものです(2×2ビニング、3分露光)。でも、よく考えてみると、わずか4cm&2cmほどの穴を通した光だけでここまで写ってしまうCCDの能力にも驚きます。


 途中、65cmで変光星の観測を行っている仲間のところに顔を出したり、同架していたPENTAX67で星野写真を撮ったりしていたので、今回はあまり画像がありません。また、2月に挑戦します。


今回撮像した天体画像(クリックすると、大きな画像で見られます)

IC443(くらげ星雲) NGC2174(モンキー星雲) NGC2264(コーン星雲) M78
 
M106 M108 M109  



2001.01.27(土)〜28(日)天文観測研究講座B
 1月に入って大雪の日が何回かありました。1月26日(金)も夜から雪の予報です。65cmを使い、変光星の観測を行う予定でしたがあえなくキャンセルです。翌27日。明け方からの雪が積もっています。「こんな日にも観測研究講座、やるの」と思いつつ、天文台に電話をします。しかし、電話に出られた方の反応からは中止や延期のニュアンスは読みとれません。「ま、4WD+スタッドレスだからなんとかなるか」と思いながら家を出ました。道路はノロノロ運転の車ばかり。おまけに前橋〜水上間の関越道が雪のため閉鎖されたので、国道17号線は渋川で大渋滞です。天文台まで3時間以上かかってしまいました。着いてからがまた大変。雪の積もった遊歩道を登っていくのは結構つらいものがありました。(職員の皆様、雪かき、ご苦労様です)
 今回の講座では、前回までのデータを元に星団のHR図を書くことから始まりました。また、それと平行して違う星団の一次処理にも取り組みました。今までは、どちらかというと天文台の方がコンピュータを操作しながら説明するというスタイルでした。それをメモを取りながら聞いていたのですが、今回は自分で作業を進めていきました。すると、わかっていたつもりでも、本当は全然身に付いていなかったことがたくさん出てきます。やっぱり、自分で経験してみないとだめですね。
 夜半過ぎから晴れてきましたが、今回は元々観測の予定はありませんでした。深夜2時頃までデータ整理をしたあと、仮眠室に泊まりました。
 
 翌日は朝から青空。お昼前から講座開始です。一つ一つのデータ処理の意味を思い起こし、わからないことがあると担当の方に質問します。丁寧に教えてくださるので、私には珍しく「こんなこと聞くと恥ずかしいな」などという余計な心配は全然しないですみました。それにしてもLINUXの操作とIRAFのコマンドにはなかなか慣れてきません。自分のコンピュータに導入するのはいつになることやら。
 今晩は仲間がやってきて65cmを占有利用(22:00〜)し、変光星の観測を行う予定です。講座は17時終了予定だったのですが、私はこのまま居残りです。そこで、急遽、22時まで講座の観測を行うことになりました。対象の選び方などもいろいろ教えていただいたのですが、どこまで公表していいのかわからないのでそこは秘密にしておきます。
 観測ではB、V、Iとフィルターを変えて、それぞれ5〜6枚の画像を取得します。3色1セットごとに写野を変えたり、途中で標準星を撮像したりしていきますが、11月の光電管撮像に比べたら格段に楽です。これでフィルターの回転と写野の移動、複数枚撮像が自動化できたらいうことないのですが・・・。
 予定通り、22時前には撮像を終え、第3回目の講座が終了しました。

 変光星観測の方は、夜半過ぎから雲が出てきてしまい、時間変化を追えるほどのデータは取れませんでした。それでも、天候の回復を待ったり、フラット画像を撮ったりしているうちに明け方の5時。少し仮眠を取って帰路につきました。

いつもよりつらかった遊歩道 おなじみのモニュメントもきれいに雪化粧

トップページ ぐんま天文台レポート